お知らせ

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2024.07.21

旅先でも、植物観察。北と南の違いも楽しい。

この週末から、あちこちの学校が

夏休みに入りましたね。

休暇中は、どこか遠くへお出かけになるという方も

いらっしゃるかと思います。

 

日本は南北に長い国で、山林も多いですから

地元を離れて旅をすると

各地の気候に合った様々な植物や

地域の暮らしを見られるのも面白いところです。

 

庭師という仕事柄でしょうか、

私たちは出先で面白い植物や庭先をみかけると

ついつい観察してしまうので、

(もちろんご迷惑にならないようにしながら)

それが観光ポイントでなくても存分に楽しめるのです。

例えば街路樹一つをとっても、地域柄が伺えますよ。

 

 

北は北海道、札幌などの

雪の多い地域の街路樹としては

冬の除雪の際に邪魔にならないような

高木を植えていることが多いようです。

 

彼の地に多いプラタナス、イチョウ、ニセアカシア、

ハルニレなどは、枝葉が高い位置にある樹なので

雪の降る時期に除雪機等を使って

バンバン雪を跳ね上げるのを見ていても

街中の道も広いし、街路樹の枝が全く邪魔になっておらず

成程うまくできてる!と感心したものです。

 

 

一方で、南の宮崎県では

フェニックスというヤシの木が県の木に指定されていて

街路樹にも沢山用いられていました。

宮崎県は温暖な気候と美しい海岸線が特徴ですから

その南国風のイメージをよく象徴していますよね。

現地で偶然、このフェニックスの剪定をしているのを

見られたのも、なかなかに興味深いものでした。

 

作業の様子を見ていると、剪定前のフェニックスには

紅葉ではなく、これも黄葉というのでしょうか、

遠目には黄色かオレンジ色に見える枝葉があり、

植木屋さんたちはクレーンに登って

これらの黄葉している枝だけを

チェーンソーで切り落としていたのです。

 

自分の背丈ほどもある大きく尖った葉を

ぐっと押し避けながら枝元をカットするのは

さぞ大変な作業だろうと思います。

地面に落ちた黄葉の巨大なこと!さすがは南国の植物です。

 

剪定することで、枝葉の風通しが良くなって

フェニックスも呼吸しやすくなるでしょうし、

大きく重い葉ですから、台風などの際に

折れた枝葉が落ちたり飛んだりしないようにと、

街路樹の健康と地域の景観維持、そして安全を考えて

お手入れをなさっているのでしょう。

 

剪定を終え、緑の葉一色になったヤシの木達は

きりりと夏らしさを取り戻し、海風に揺れていました。

 

人間と自然の関わり方…各地それぞれで、面白いですね。

2024.07.13

雨の晩の月下美人

昨晩、雨の降る中

我が家の「月下美人」が咲きました。

 

4年程前に、知人から鉢植えを頂いた時には

50センチ程の大きさだったのですが

その後すくすくと育って

今はもう160センチを超え

支柱が必要なほどに伸びております。

 

うちのお庭の環境に馴染んでくれたのか

嬉しいことに

毎年2〜3回は大きく綺麗な花を咲かせ

澄んだ甘い薫りを漂わせてくれるのです。

 

 

さて、この月下美人は

メキシコの熱帯雨林地帯を原産地とする

サボテンの仲間です。

 

サボテンですから

育てるときにはお水をやり過ぎないのがポイントで

夏場は週に1回くらい、

その他の季節でしたら鉢植えの土が乾いてきた時のみ、

鉢の下の穴からお水が抜ける程度まで水やりします。

 

そして、元々は暑い地域の植物ですから

寒いところはもちろん苦手です。

日本で育てるなら

冬場に外気温が10度を切ってきたら

鉢植えを室内に入れて

寒くないようにしてあげるのがおすすめですよ。

 

「うちの月下美人が、何年経っても咲かない…」と

お悩みの方は、この水やりの加減と

冬場の温度管理がコツですので

試しにやってみてくださいね。

 

 

年に数回、一晩だけ咲く花ですから

うちでは蕾が大きくなってきたなと思ったら

鉢を窓辺の近くに置き

カーテンを開けたまま夜を待ちます。

 

8時過ぎには概ね開きますが

9時、10時頃になると

花の後ろの方の花弁やがく弁までふわっと開いて

より華やかになり、本当に見事なものです。

 

朝になれば萎んでしまう

本当にひと夜だけの美しさ。

夏の夜の花見も、案外よいものです。

2024.07.07

打ち水を兼ねて、お庭の水やりを

今日は本当に暑い一日でしたね!

この時期は、朝晩の涼しい時間に水撒きをすると

植木達も喜びますし、

お家の周りの打ち水効果も期待できて、

私たち人間にもちょっと良いことがありますよ。

 

撒いたお水がゆっくり蒸発するうちに

お家まわりの地表の温度を

2〜5度下げてくれますし、

さらに植木達が土から吸い上げたお水を

葉っぱから少しずつ蒸散させるので

その気化熱で葉っぱや周りの空気が冷やされ

お庭の中に空気の流れが生まれます。

 

夏の暑い時期は

日中は窓を締め切って冷房を入れっぱなしだけれど

朝早いうちだけ窓を開けて

換気をするというお宅も多いでしょう。

 

そんな時、ついでにたっぷりの打ち水や

お庭の水やりをして、窓からの風で


体に優しい涼しさを味わってみてはいかがでしょうか。

 

なお、庭づくりをする際に

フェンスだけで仕切っている場合と

生け垣などの植栽をプラスした場合では

敷地の中の空気の流れも変わってきます。

 

住まいとお庭の設計をうまい具合に調和させて

心地よい風を呼び込めるといいですね。

 

 

さて夏以外でも、お庭の中の空気の流れは

植物たちにとっても、重要なポイントです。

 

なぜなら、植物たちは光合成をしており、

この際に二酸化炭素が必要なのですが、

風がないと葉っぱの周りの二酸化炭素が

すぐに消費されてしまって

新鮮な二酸化炭素が足りなくなってしまうからです。

それと、空気が動かない場所では

葉っぱの表面に湿気が溜まりやすくなり

病気やカビの発生リスクも高くなります。

 

風が強すぎても困りますが

あまりに風がないのも良くないというわけです。

 

お水やりで、お庭まわりに少しの気温差をつくって

新鮮な空気が程よく流れるようになれば

植栽と人間、一挙両得と言えましょう。

 

それに何より、上手に水やりをしていると

植物達を酷暑のダメージから守ってあげられます。

秋口の植栽の元気さが違ってきますよ!

 

ともあれ、夏はこれから…。

ちょっとだけ工夫して、お庭の植木達と一緒に

暑さを乗り切っていきましょうね。

 

 

昨日の夕立の後、緑の多いところを歩いていたら

ふいに少しだけ涼しい空気に包まれて

暑さに疲れた心身がひととき癒されました。

 

物言わぬ樹々達が、一日を乗り切って

深呼吸でもしているかのようで、

植物達の息吹を感じられる私の好きな瞬間です。

2024.06.28

梅雨時だから、キノコのお話。


梅雨時の雨上がりにお庭に出ると、

葉陰の土の部分に

小さな白いキノコを見つけることがあります。

 

小人の傘のようで可愛らしい彼らは

お庭の枯れ葉や木の破片などを分解し

土の栄養に変えるという大切な役割を担っています。


それに、土の中に菌糸をのばして


水や空気の通りをよくしてくれるんですよ。

 

お庭の土を栄養たっぷりにしてくれて、


程よい通気性と保水性を与えてくれて、

土壌を健康に保ってお庭の植物の根っこが

のびのび育つことができる環境を作っている…

小さいのに、とっても働き者のキノコ達なんです。

 



さらに、一部の種類のキノコは


お庭の植物に必要な栄養素(特にリンや窒素)を


供給する一方で、植物たちからは炭水化物をもらって

上手に共生しています。


お庭の中にそんな循環があるんだなと思って


雨の日に窓辺から眺めるのもいいかもしれませんね。


 

なお、気温や湿度の条件が変わると


小さな白いキノコ達は
すぐに消えていなくなってしまいます。

ですので見つけた時にも取ったりせずに

そっとしておいてあげればOKですよ。


 

 

さて一方で…


私たちが見つけたら、ちょっと気になるキノコもあります。

先日ある現場で、大きなサルノコシカケに出会いました。


写真の通り、私たちの手よりも大きく

猿もしっかり腰掛けられそうなサイズです。


 

サルノコシカケは腐朽菌の一種で


何らかの理由で弱っている木や


既に死んでしまっている木に生えます。


ですから彼らを見つけた時は


その木の状態を注意して観察しなければならないのです。

 

このキノコは、木の繊維を分解して栄養にしており

これが外に大きく生えているということは

既に木の内部には菌糸が張り巡らされて


腐り始めていることを示します。


特に、心材(木の中心部分)が腐っている場合は

その木の強度が大幅に低下している可能性もあるのです。


 

もし腐朽が進行していれば

枝が折れたり木が倒れたりして危ないですし


近隣の健康な木に菌が広がることもあるので

さみしいですが、この木の伐採を検討することになります。

 

でも…以前にこのブログでお伝えしたように

虫たちや菌類は、労力をかけて樹を分解し

彼らが土に還るのを手伝ってくれているわけで…


このサルノコシカケだって、自然の循環の中で

大切な役割を粛々と果たしてくれているんですよね。

 

キノコ達の働きに心の中で感謝しつつ…


我が社では高木の枝おろし等にも対応しておりますので

この日もロープで安全を確保しながら

木を伐採させていただきました。

 

大きく立派な木に登って、


私たちも自然の小さな一部なんだ、と思いながら。

2024.06.20

たねダンゴ®を作って、お花の種を植えてみよう!

横浜市の ”鳩の森愛の詩瀬谷保育園”さんで

今度は「たねダンゴ作り」に挑戦してきました!

 

皆さんは、たねダンゴというものをご存じでしょうか?

これは、2011年の東関東大震災の影響を受け

荒廃してしまった土地に緑を戻そうと

「日本園芸普及協会」の方々が立ち上がり

土のお団子に花の種を混ぜて蒔いた方が

発芽率が高く、早く緑が取り戻せると

考案してくださったものです。

 

現在では、日本各地で

たねダンゴを作ってお花を植えるイベントが

開催されるようになり、

気軽に楽しめるミックス土なども

園芸屋さんで売られていますので

機会があれば探してみてくださいね。

 

 

まずは、黒っぽくて粘性のある「けと土」と

よく観葉植物の鉢でみかける「赤玉土」を混ぜて

まあるい土のお団子を作っていきます。

 

みんなでワイワイおしゃべりしながら

お団子を丸める作業も楽しいものですよ。

まるめたお団子をトレイに並べていくと

何だか、あんころ餅みたいに見えます。

 

こどもたちが小さい手でつくるお団子は

何となく小ぶりで可愛いサイズ。

お庭屋さんの私の大きな手でつくるお団子は

ちょっと大きめな仕上がりに。

 

 

次に、お団子の真ん中に穴を開け

ゆっくり溶けるタイプの肥料と

根腐れを防ぐ効果のある「ケイ酸塩白土」を

ひとつまみ入れて、また丸め直します。

何だか、おにぎりの具を入れるみたいな感じですね!

 

最後に、ダンゴの周りにお花の種をくっつけて

更には、白い粉砂糖状の「ケイ酸塩白土」を

全体にまぶしたら完成です。

ケイ酸塩白土は、秋田県の八沢木地域で採れる天然の鉱物で

植物が育つのをいろいろと助けてくれるんですよ。

 

花壇に植え付ける際は、一つずつダンゴを配置して

上からそっと、手で土を被せていきます。

深く埋めすぎると発芽が遅くなるので

かるく被せる程度にするのもポイントです。

 

 

4月から6月ごろに行う「春まき」のたねダンゴは

7月から10月中旬にかけてお花を咲かせてくれます。

来週、再来週くらいには発芽して

コスモス、ジニア、クレメオ、千日紅、葉鶏頭などが

順々に咲いてくれますので、今から楽しみですね。

 

今回は、20組位のご家族が参加され

たねダンゴ作りをやってくれました。

作ったダンゴは、一部は園庭内に植えて

残りは皆さんにお持ち帰り頂きました。

 

こどもたちが、花壇の新芽に気づいた時には

果たしてどんな顔をするんでしょうか。

2024.06.13

植木と虫の関係性。我々庭師はバランサー。

私たち庭師は、樹の剪定をしたり

新しく樹を植えたりもするのですが

時に、樹の命の終わりを看とることもあります。

 

大風で倒れる、ひどく虫がつく、

あるいは重い病気になってしまう等、

様々なケースがあります。

 

もし病気にかかっている樹があれば

彼らが弱ってしまった原因を探ります。

そして、生きる力を取り戻せるような方法、

私たち庭師に出来る手助けはないかと考えます。

 

オーナー様にとっては大切な植木ですから、

お庭の虫たちが元気になりすぎているようなら

薬を使って駆除することもありますが、

虫を排除するばかりがよいとも言えないので

生き物たちのバランスをどうとるか、思案するのです。

 

 

虫やバクテリアは

生きる力が弱っている樹につきます。

もしも、その樹がもうすっかり弱っていて

土に還りたがっているとすれば、どうでしょうか。

 

虫たちやバクテリアが、労力をかけて樹を分解し

土に還るのを手伝ってくれているとするならば、

樹にとって、その営みは

悪いことではないのかもしれません。

 

ある本で、そんな考え方を読んでから

弱った樹の最期を看取る時の心持ちが少し変わりました。

可哀想なばかりでもない、これも自然のバランスで

めぐる輪の一つかも…と。

 

 

植物というのは面白いもので

そこの土や環境が合えば、放っておいても

のびのびすくすくと元気に育ちます。

 

植木たちが長く元気でいてくれたり

たくさん花を咲かせてくれたりするのを見ると

こちらも嬉しくなって

「成る程、君たちはこの場所が気に入っているんだね」と

心の中で声をかけてしまいます。

 

人間が手を入れすぎた庭は

生物たちの生きる力が弱くなってしまうので、

やはりこの辺りも塩梅が肝心なのかもしれませんね。

 

お庭の様々な生き物たちの

声なき声を聴きながら、今日もお仕事をしています。

2024.06.06

保育園ワークショップ ミカンの植樹と花壇作り

先日、横浜市の ”鳩の森愛の詩瀬谷保育園”さんで

約4年ぶりの親子ワークショップが開催され

私たちもそのお手伝いに行ってきました。

 

この日は快晴!

ワークショップ会場の屋上庭園からは

見事な富士山も見えて、最高のお天気です。

 

こちらの保育園では

「共育て共育ち」の理念のもとで

こどもたちを中心に

職員の方々や親御さんたちが一緒になって

様々な活動をなさっています。

 

今回は、屋上庭園にミカンを植樹し

その周りにみんなで花壇を作っていきました。

 

 

ミカンはお水を好む樹なので、

8月の収穫期の少し前まで

たくさんお水をやって育てます。

 

力持ちのお父さんたちが汗をかきつつ穴を掘り

樹の姿が格好よく見える向きをみんなで考えて

若いミカンの樹をしっかりと植えつけました。

屋上なので、日当たりは抜群です。

 

 

いよいよその後は、こどもたちが

お花の苗を植えて、花壇を作る番です。

 

まずは弊社スタッフが植え方を説明します。

「どんなふうに植えたら元気な根っこが伸びるかな?」

ボードに絵をかきながら説明するのを

親御さんたちもこどもたちも

真剣な顔で聞いてくれていました。

 

 

花壇作りが始まると…

 

元気なミミズを見つけて大喜びな子。

「土を掘ったら、中が冷たい!」と言って

手にふれるものの感触を楽しんでいる子。

 

スタートダッシュでどんどん植える子もいれば

スロースタートでじわじわ始める子もいます。

 

弊社スタッフが

「背の高い苗を奥に、背の低い苗は手前に植えると

 素敵な花壇になりますよー」と声をかけると

親御さんと一緒に

花の苗をじっと見比べて考えている子。

 

重たいジョウロを一生懸命運んで

お水やりを頑張る子もいれば、

花壇の周りの遊歩道を作るための木端を

どんどん運んでくれる子、

花壇の周りの芝生の植え付けまで

粘り強く取り組んでいる子もいました。

 

 

この保育園のみなさんは

こどもたちに一斉に同じことをさせるというよりも

ひとりひとりが興味を持ったことに

自分のペースで取り組んでくれることを

とても大切にされていて、

みんなの集中力や楽しそうな様子を見ていても

それがよく伝わってくるひとときでした。

 

こどもたちが、いつかの未来に

この樹と花をみんなで植えたことを

あたたかい気持ちで思い出してくれたらいいですね。

2024.05.13

立木の補強や藤棚作りに。しゅろ縄、麻縄、ビニールの縄

最近は随分と風の強い日が多いですね。

人間と違って移動ができない樹木たちは

雨の日も風の日も

生まれたその場所でじっと耐え忍んでいます。

 

さて、台風や嵐の日でなくとも

街中には、地形や周辺建物の影響で

常に風が吹き続けているような場所があります。

 

そうした所では

樹木全体が風の向きに沿って

まるで曲がった箒のように変形していたり、

地面から根っこが浮き上がって

少しずつ幹が傾いていたりするので、

職業柄、街や公園を歩いていると

ついそんな木の様子を観察してしまいます。

ああ、ここはいつも風が強い場所なんだろうな…と。

 

 

私たち庭師のお仕事の一つに

こうした立木の補強があります。

 

我々人間に出来ることには限界もありますし

樹木自身がその場の環境に

調和しようとする力もありますので

様子を見ながら加減して行うようにしています。

 

 

立木の補強は、例えば写真のように

樹木の周りに支えの丸太を据えるなどして

縄でしっかりと括りつけていきます。

この縄は、きれいに面を整えながら巻いています。

皆さんから見える場所ですから

庭師としても格好良く仕上げたいところですしね。

 

 

そして庭師が使用する縄にもいろんな種類があり

特性によって各所で使い分けています。

 

天然の椰子繊維で出来たシュロ縄や

ジュート(黄麻)で作った麻縄は

触るとガサガサしており

この摩擦のおかげで縄同士が滑らないので

しっかり括ったり結んだりしやすい縄です。

その上、朽ちて自然に還る素材なので

木の幹など、成長して少しずつ太くなる箇所に

使うのにも適しています。

 

一方で、ビニール製の縄は表面がツルツルしており

縄同士の摩擦力に頼って結び合わせるのは難しいですが

自然には朽ちにくいため

立木の補強用丸太などを、できるだけ長い期間

同じ位置で固定したい場合などに便利なのです。

 

尚、立木の樹皮に縄が触れる箇所には

天然のシュロ繊維などで作られた

少し厚みのある緩衝材を巻き

その上から縄をかけることもあります。

こうしておくと、強風で幹が揺れる時や

幹が成長する過程で

縄が樹皮を傷めるのを軽減してくれるんですよ。

 

 

さて、こうして日々使っている縄ですが

本当に丈夫なので

大量に処分する時には少し気を使っています。

 

例えば、藤棚のお手入れをする際には

毎年すべての縄を架け替えるので

剪定後には古い縄の切れ端がたくさん出るわけです。

この時の古縄は

藤の枯れ枝や葉っぱとは分けて処分しなければなりません。

 

何故なら、大量の縄の切れ端が混じった状態で

処分場に出してしまうと

枯れ枝などとは違って

縄というのは粉砕機でも切断しにくいらしく

場合により機械の中で引っかかって止まり

大変なことになるんだそうです…。

ですので古縄は別にまとめて焼却処分に出しています。

私たちの場合、出す量も多いですからね。

 

お庭がきれいになったら

後始末までしっかり…というのが

気持ちもさっぱりしてよろしいかと思っております。

2024.04.30

窓越しの庭

ここのところ、天気の良い日が続いており

窓を開けてお過ごしの方も多いかと思います。

 

庭木越しに、部屋を吹き抜ける風は心地よく

時には花の香りも届き

新芽の色も目に鮮やかで

なんとも佳い季節になりましたね。

 

 

さて以前、あるお客様のお宅へ

お庭のお手入れに伺った時のことです。

 

いつものように、朝のご挨拶をしましたら

その日は年配のご家族のお加減がすぐれず

ずっとお部屋でお休みになられているとのことでした。

お話から察するに、ご病状はだいぶ重いご様子です。

 

それを聞いて、私たちは

今日はできるだけ静かに剪定をさせていただくこと、

そして、そのお部屋の窓が開いているようだったので

音がうるさいといけないから

窓も閉めておきましょうと申し上げました。

 

するとお客様は

「いいの、いいの、気にしないで。

 今日は、あの窓を開けておきたいんです。

 植木屋さんがお庭のお手入れをするのを

 聞いていたいって。」

そう仰ったのです。

 

その一言に、ああ、そうだったのかと、

庭師として、改めて気付かされたのでした。

お庭の音とは、そういうものか、と。

 

 

窓越しに、お庭から聞こえてくる様々な「音」。

 

庭木がさらさらと風にゆれる音や

小鳥たちの楽しげな囀りにまじって

今日は私たち植木職人の鋏の音がパチン…パチン…と

響き続けます。

よく手入れした、職人の鋏の音です。

 

ふと思いつき

お庭の音を、録音してさしあげられないかと

自分たちのスマートフォンで何度か試してみたのですが

やはり繊細な自然の音ですから

それなりの機器でないと上手くは録れないのでした。

 

そこからはまた頭を切り替えて…

静かに息を整えながら

ひと枝、ひと枝、

心を込めて、鋏を入れていきました。

いつものお庭の音が、お部屋にいるご家族に届くように。

 

 

それから程なくして

その方は亡くなられましたが

あの日の、あの時間が、少しでも

人生の最期の心安らぐ時になっていればと

思わずにはいられません。

 

今でも、自然の中や、お庭での様々な音を聞く時

この日のことを思い出すのです。

2024.04.14

数年かけて、じっくりと。竹林のお手入れの話。

年に何回か、竹林のお手入れに伺うお宅があります。

今の季節の楽しみは、何と言ってもこんなふうに

朝日の中で黄金に輝く筍を見つけられることでしょうか。

 

落ち葉をかき分けるとひょっこり頭を出していて

思わず筍掘りを始めたくなるのですが

ここはぐっと我慢してお仕事に励まねばなりません…。

 

 

竹林のお手入れは

まず茶色くなって立ち枯れしているものや

倒れている竹を切り、林の中の整理から始めます。

 

平らなところもあれば、斜面地もありますし

あとあと作業がしやすいよう皆の動線を考えながら

足元をどんどん片付けていきます。

庭師の仕事には、先読みや段取りも大事ですね。

 

 

竹は育ちが早く、腐りが遅いという性質があるので

以前は伐採したものを土留め材として使ったり

棚を拵えたりしていました。

 

しかしそれだけでは使いきれず

徐々に増えてくる竹材の置き場の問題がでてきました。

そこで考えついたのが

「竹を破砕できる機械を導入し、竹林を整備し直す」

というアイディアだったのです。

 

画像の緑色の機械が、私たちの使っている破砕機です。

破砕した竹が、こんもりと薄茶色の山になるほど出ますので

これを竹林に撒いて均し、土に還します。

土に還り易い様に、粉砕するというわけです。

 

3年程前にこの破砕機を導入したところ

今では竹林がだいぶすっきりしてきました。

 

こうして竹が整理されてきたところに

林に降りる階段も整備してみましたら

オーナー様も安心して筍掘りに入って楽しめる

素敵なエリアができたのです。

何でも、色々考えてやってみるものですね!

今も継続的に整備中、これからも林全体の様子を見ながら

進めていきたいと思っています。

 

こうして、私たち庭師が山にひと手間かけることで

自然の良い循環のお手伝いになるなら、嬉しいことですね。

 

 

それから粉砕した竹のパウダーは

畑や花壇に撒くこともできるんですよ。

竹パウダーには、腐敗菌や病原菌の殺菌作用があります。

また、雑草を生えにくくしたり、作物の栄養になって

甘みをだしてくれたりするので、

鈴木造園では活躍の場面が他にも色々ありそうです。

 

こんなふうに日々、みんなでアイディアを出して

工夫しながらチームでお仕事をしています。

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