お知らせ

お知らせ

2025.02.25

もうすぐ卒園式。お庭とこどもの手の話。

二十四節気でいう”雨水”の頃は、雪が雨に変わり

梅の見頃を迎える時期と言われています。

数年前に植樹した、あるマンションの梅の木も

可愛い花が甘い香りを漂わせてくれていて

お手入れに伺うと何だか嬉しい気持ちになります。

 

さて、当社では横浜市の鳩の森愛の詩保育園さんにて

園庭のお手入れや植樹、植栽、畑づくりなどを通じ

こどもたちのワークショップのお手伝いをしています。

この時期になると、卒園式が近づいてきて

一年間のいろんな出来事が思い出されるのです。

 

大根から育てる、たくあん作り

 

年末の寒い時、園のみんなでたくあん作りをしました。

こどもたちが園の畑で育てた大きな大根、小さな大根、

それぞれに気に入った大きさのものを選んで

順番に樽の中に並べていきました。

 

そこに糠や塩、砂糖を使い、大根が見えなくなるまで

何層にも何層にも重ねて埋めていくのですが

糠を直接触るのはこれが初めてという子がほとんどです。

最後に蓋をして、大きな石を重し代わりに乗せ終わった時の

みんなの満足そうな顔は忘れられません。

 

試食会では、甘みがあるのと、塩味が効いたのと

2種類の美味しいコクのあるたくあんが出来上がり

今年も大盛り上がりでした。

 

 

門松とこどもたち

 

それから年明けに、保育園へ

門松を引き取りに伺った時のことです。

 

毎年、大人の背丈ほどもある立派な門松を

飾らせていただくのですが

よく見ると竹の一部の色が

薄くなっているのに気づきました。

 

そういえば先生たちが

門松がどんなふうに出来ているのか触って見てみてね、と

こどもたちに話していたんですよね。

それは今時のこどもにとって

とても珍しい体験だったのかもしれません。

 

おそらく年末年始にかけて、この門松はきっとたくさん

みんなに撫でてもらったのでしょう。

門松は歳神様の依代ですから、園にいらした神様も

きっと喜んでくださっているんじゃないかと思うのです。

 

 

こどもたちの手は

 

保育園のこどもたちはとても好奇心旺盛で

みんな人懐っこく接してくれます。

 

こちらの園の方針で

全員で号令をかけて同じことをするというより

各々のペースで自分が取り組みたいことに向かっていて

ワークショップを見ていると

みんな違って本当に面白いなあと思います。

 

土をこねたり、植物や野菜を育てたり、

お庭の様々ないのちに触れる彼らの小さな手は

妙に湿気があって、あたたかくて、

時にこちらの指をぎゅうと握ってきたりします。

 

園のお庭は、自然とこどもたちが出会う場所。

こどもたちがたくあんを仕込んだ小さな手で

命にふれたあの瞬間を、いつか思い出してくれるでしょうか。

 

私たちは、そんな体験が

みんなの心のどこかで生き続けることを願い

今日も庭に向き合っています。

 

植木のお世話をし、土を作り石を組む、

その先の未来に、大人になった彼らの心がほっと憩える

そんな素敵な場所を残せたらと思うのです。

 

みなさんにとって、自然にふれた最初の思い出は

どんなものだったでしょうか。

2025.02.05

百花の魁、梅が彩る日本の春


立春をすぎ、そろそろ弊社の近くでも

梅が咲く頃となりました。

都内の小石川後楽園などでは梅まつりも始まり

早咲きのものがぽつぽつ開き始めているようです。

 

梅の種類、実梅と花梅

 

古来より、梅は春の訪れを告げる花として

愛されてきました。

江戸時代に盛んに品種改良が行われ

今では300以上もの品種が存在するとされています。

 

これらの品種は

食用として利用される「実梅(みうめ)」と

観賞用として栽培される「花梅(はなうめ)」に

分けられます。

 

実梅には、南高や白加賀、豊後などの

代表的な品種があり、皆さんも梅干しや梅酒で

召し上がっていることでしょう。

花梅に比べて実梅の枝はがっしり太めなことが多く

花を咲かせるよりも実を成らすほうが

梅がたくさんのエネルギーを使うのがよく分かります。

 

花梅も本当に多くの種類があります。

「御所紅」「月影」「古金蘭」…と

ひとつひとつ名前の響きが美しく

日本語って素敵だなと改めて感じさせてくれますね。

 

梅の剪定時期

 

庭木の梅で、1年に1度だけお手入れをする場合は

秋の落葉後から、花が咲く前の冬の時期にかけて

剪定をします。

もし年に2回お手入れできる場合は、夏頃にも

長く伸びた枝を切らせていただいています。

 

梅の枝には、一年間で何十センチも

勢いよくまっすぐ伸びるものがあり

これを徒長枝(とちょうし)といいます。

徒長枝は主に春夏に出て、花芽はあまりつきません。

伸びる分、どんどん樹の栄養を使ってしまうので

樹全体の生育バランスから見て不要な分は

夏の剪定で根本から切っておきます。

 

徒長枝を秋冬の剪定で切ってもよいのですが

枝が出たての夏頃に切った方がまだ細いですから

切り口は小さくて済みます。

人間と同じで、樹木も切り傷が大きいと

負担になりますからね。

 

梅の姿もいろいろです

 

梅の枝は、お日様の光を求めて奔放に伸びていきます。

その為、枝同士が交差したり重なり合ったりして

下の方の枝は陽が当たらず、枯れてしまうことがあります。

 

そこで私たちは全体の姿を見ながら

枝の向きや重なりを整理して

樹が元気になるようお手入れをします。

品種により枝の形も違いますし、

お庭の場合は、周囲の木との兼ね合いも大切です。

 

それに、花を楽しみたいのか

たくさんの実を収穫したいのかで

剪定方法も変わってきますので

お客様と相談しながら進めています。

 

梅の枝の中には…

 

梅の剪定をした後、鋏や鋸を洗うと

赤い色が出るのをご存知でしょうか?

これは、梅の赤い花色の素である

アントシアニンの色なんです。

 

不思議なことに、白い花の梅の木にも

この色素が含まれていて

やはりほんのりと赤が出るんですよね。

昔からどちらの木も草木染めに用いられてきました。

 

花もよし、実も美味で、枝からは美しい色が採れる…

梅って本当に万能な樹なのです。

2025.01.30

一番身近な、大きな命。街中の樹木の話。

もうすぐ立春、でも今週末は雪の予報です。

この時期は空気がカラッとしているので

晴れた日に樹々を見上げた時には

空の青さを格別に美しく感じますね。

 

さて、私たちは一戸建てのお庭だけでなく

マンションなどの大きなお庭も

お手入れさせていただいています。

大きな建物や広い空間には

かなり背の高い樹も立っていますので、

定期的な樹木の安全点検とメンテナンスは

欠かせないのです。

 

樹木は生きていくうちに

「ここの枝は、いらないな」と

自分でどこかに枯れ枝を作るものなのですが

「いらない」とスイッチが入って

枝が落ちるまでの期間は、樹種によって様々です。

 

例えばケヤキ等はそのスピードが早い樹なので

数年に一度は木に登って点検をします。

木の下から見ると細そうな木の枝も

登ってみれば大人の腕くらいの太さがあり

これが落下すると危険ですから

登ってチェックする必要があるのです。

 

この時に、クレーンなどで上がって

確認できれば良いのですが

そういう車が使えない時は私たちが人力で登ります…。

登り手と地上にいる者の連携も重要です!

上手に登って、木にも人間にも負担少なく

作業できるよう、日々技術を磨いています。

 

背の高いビルやマンションがあると

建物の間を吹き抜ける風の勢いは増します。

(いわゆるビル風です)

樹木たちはいつもこの風を和らげてくれているので

風の強い場所では、彼らの負担も大きいのでしょうね。

街中で立派な木をみると何となく

今日もありがとう、って言いたくなるんですよ。

 

他にも、もう少しすると開花が楽しみな

桜の木など、特に大きめの古い樹は

台風の際に枝いっぱいに風を受けてしまい、

耐えきれずに枝や幹に亀裂が入り

そこからキノコが生えたりして

樹が傷んでしまっていることもあります。

そういう場合は、大きく切り戻して

改めて樹の状態を整え、作り直すこともあります。

 

生き物相手ですから、最終的には

その樹の生命力次第なのですが

色々考えて手当や対処をしてあげることで

少しずつでも元気になってくれたらと思っています。

 

昔はこれほど、年に何度も

苛烈な暴風雨がくることはありませんでしたよね。

いずれにせよ、お天道様には逆らえませんので

その都度、知恵を絞るお庭屋さんなのでした。

 

都市や街中に立つ樹木たちは

私たちが一番身近に接する巨大な命です。

立派な姿の彼らも

時に黙って困っていることもありますから

声なき声を聞きながら

気にして見ていてあげたいなと思うのです。

 

写真上:ケヤキ

写真下:六義園の桜

2025.01.17

貝塚伊吹と、お庭のひそひそ話

昨日は気温がぐっと下がりましたね。

こういう寒い時期は、お天道様の力が

本当にありがたいです。

お庭のお手入れの際

陽の当たる場所を担当するのと

日陰になっている場所を担当するのでは

体の冷え方が全然違います。

 

さて、悴んだ手を温めつつ鋏を握り

日々植物たちと向き合うお庭屋さんは

お手入れを始める前、またはお手入れしながら

植物たちの様子をじっと観察しています。

 

彼らは人の言葉ではおしゃべりしませんが

その様子から見てとれることもあります。

 

もちろん言いたいことの全てはわからなくても

「何かあるんだろうなあ」と

心に留めておくだけでも

後日のヒントになったりするのです。

 

このような植物との会話はいろいろあります

 

例えば、大きな木の根っこが、土の表面に

上がって伸びてきてしまっているのを見れば

「何か下に行きたくない理由があるんだな、

 下に何かあるのかな」

というふうに考えます。

 

「ここの土が乾燥しすぎている?

 下に固くて通気のよくない土や石があるとか?

 それとも地盤が浅いのかな?」など…

 

すぐに何かできなくても

植物たちの声をいったん聞いておきます。

スタッフ同士で

「この子はどうしたいのかねえ」なんて話もします。

 

他にも先日、貝塚伊吹(カイヅカ イブキ)という

庭園や生垣によく植えられている

背の低い桧の仲間の木があるのですが、

同じ1本の木なのに、枝や葉っぱの形が

場所により全然違って伸びている子がいました。

(写真の枝は、同じ貝塚伊吹の木から剪定したものです)

 

これは「先祖返り」などと言われる現象で

園芸用に人間が品種改良したものが

何らかの理由で昔の姿に戻っているものです。

 

貝塚伊吹は、寒さにや乾燥にも割と強くて

お日様が大好きな植物です。

元々は、伊吹(イブキ)という野生の植物をもとに

改良されて生まれました。

 

元の野生の伊吹は、葉っぱがトゲトゲしていて

小枝も少しぐねぐねとした姿をしているんですが

どうもこの子は一部の枝だけ

祖先に近い形質(かたちや特徴)を

とろうとしているようなんです。

 

植物は、品種改良をしても

祖先の性質が遺伝子に隠れて残っていることがあり

何かの拍子にそれが表に出てくることがあります。

 

その原因は定かではなく、

強すぎる日差しや乾燥、強めの剪定、根の傷みなど、

植物にストレスがかかると

祖先の形質が現れやすくなるといわれています。

 

先祖返りをしている貝塚伊吹を剪定しながら

「何かストレスがあるのかな?

 それとも昔の姿になった方が

 この子にとっては何か、都合がいいのかなあ」

そんなことを考えました。

剪定した枝は、桧のよい香りを漂わせています…。

 

何となくですが…

剪定しながらスタッフ同士で話していることも

植木たちはちゃんと聞いているような気もするので

「サインに気づいているよ」という意味で

そっと考え事を呟いてあげるのも

悪くないかなと思っています。

2024.12.30

年の瀬に、木樽いっぱいの倖せを

当社では、毎年冬に畑で採れた大根で

たくあん作りをしています。

収穫後、一週間くらい天日干しにしてから

木製の樽に漬け込むのです。

 

昨年はうっかり干しすぎたかな?と思っていたら


水分が適度に飛んで、旨みがギュッと凝縮されて


予想以上に美味しくできました。

このように干し加減でも味わいが変わるのが

たくあん作りの面白いところですね。

今年の漬かり具合も楽しみです!

 

漬け込みレシピは

小島農園さんのもち米の糠、昆布、ざらめ、塩、

柿の皮、そして乾燥させたみかんの皮も入れました。

白、緑、黒、橙色…樽の中は色とりどりです。

 

大根をはじめ、多くの野菜の表面には

自然の植物性乳酸菌がついています。

(根粒菌、糸状菌ときて、今度は乳酸菌の登場です!)

 

塩や乳酸菌は、他の有害な細菌の繁殖を抑えます。

そして乳酸菌が大根やぬかの糖を食べて増えていき、

酵素を出して旨みをアップさせてくれる…

これが、たくあんの美味しさのヒミツなのです。

 

 

素敵な漬け込み樽のこと

 

写真の見事な樽は、当社のお客様から頂いたものです。

お客様のお家の物置の中で長年眠っていた酒樽でして、

もともとは先代のお祖父様が
大切にとっておかれたものでした。

 

材質はおそらく杉かと思います。

あまりに見事な樽なので、
当社のスタッフの一人は

たくあんを漬けた樽の中の木目を
しばらくうっとり眺めていたほどです。

 

先代のお祖父様は、木場の商社で

木材を扱っていらっしゃったそうで

お宅の物置はさながら名木の宝箱という雰囲気でした。

 

ある時「鈴木造園さんで使ってくれるなら」と

ありがたいことにこの樽をお譲りくださいまして、

こうして毎年たくあんを作るのに

大切に使わせていただいています。

 

本当に、私たちはあたたかいお客様方に恵まれて

今年も無事に仕事納めを迎えることが出来ました。

心より感謝申し上げます。

どうぞみなさま、良いお年をお迎えください。

2024.12.29

年末年始休業のお知らせ

平素より弊社をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。


年末年始の休業期間について、以下の通りご案内申し上げます。


 

【年末年始休業期間】


2024年12月31日(火)~2025年1月7日(火)


 

新年は2025年1月8日(水)より営業を開始いたします。


休業期間中にいただきましたお問い合わせにつきましては


営業再開後、順次対応させていただきます。


 

本年も多くのお客様に支えられたこと、心より感謝申し上げます。


来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。


2024.12.19

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ④

皆さんのお庭や畑の土って、今どんな状態でしょうか?

土にもいろいろありますよね。

当社の土壌試験場では、野菜たちがぐんぐん育つ

栄養豊かな土を目指して


菌ちゃんたちにお手伝いをしてもらっています。

 

菌ちゃん畑の土って、どんな土?

 

土の中には、糸状菌乳酸菌酵母菌

他にも以前リクガメちゃんの記事でご紹介した

植物の成長に欠かせない窒素を土中に取り込んでくれる

根粒菌などの多種多様な菌たちがいて

みんなで上手に補完しあっています。

 

今回の畑の土づくりでは、糸状菌の働きに注目して

彼らが大好きな
、通気性の良い土壌環境を整えます。

 

彼らのエサになる枯れ草などの

炭素を多く含む有機物を土にたっぷり混ぜて、

手でさわると軽くてさらさら、ほろほろの土にしてあげると

さらに元気に活動してくれるようになります。

 

すると、命の役割を終えた有機物たちに向かって

土中から糸状菌たちがするするとのびてきて

ゆっくりと分解を始め

野菜やお花、植物たちが吸収できる栄養素ができます。

 

虫さんたちと同じく、土中の微生物たちは

土に帰りたいものたちのお手伝いをしてくれるのですね。

 

これにより栄養たっぷりの土で育つ野菜たちは

病気になりにくく、虫もつきにくくなります。

人間で言えば、栄養状態の良い人は

免疫力が高くて病気になりづらいのと同じことでしょうか。

 

良いエサになるのは枯れ草、枯れ葉、籾殻、剪定枝。

適度な大きさに割った竹や、古い木。

菌ちゃん畑で育てた野菜の残渣も、土に還せます。

この畑は、私たちの身近にあるものを活用して

土づくりができるのが大きな魅力なんです。

 

遠くから原材料を買ってこなくても

 

家庭菜園やお庭で、こうした身近な材料を見つけ

“自給自足”の土づくりに挑戦するのも面白そうです。

 

日本で使用される化学肥料は

主に国内で製造されていますが

その原材料の多くは海外からの輸入に頼っています。

 

製造コストの6割が原材料費で、

最近は、中国、マレーシア、カナダなどからの輸入が

主だそうです。(農林水産省「肥料をめぐる情勢」)

 

そうなると当然、国際情勢や原料価格、運送費の変化、

円安にもかなり影響を受けますよね…。

 

身近な有機物を活用した土づくりができたら

わざわざ海外から高い値段で

たくさんの材料を買わなくても済むかもしれない。

 

菌ちゃんたちの活躍を見守りながら

そんな未来を楽しみにしている今日この頃です。

2024.12.11

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ③

私たちの身の回りにあるお庭や公園、畑の土には

それぞれ個性がありまして、

通気性の良い土、湿っぽい土、

酸性土壌や栄養成分の多寡など、さまざまです。

 

その土に合った植物の種はしっかり育ち

合わなければ育たないし

そもそも芽吹かないこともあるんですよ。

 

庭師のお仕事をしながら

土と植物の関係で面白いなあと思うのは

先代の社長が折々に言う

「草ってのは、土が呼ぶんだ」ということです。

 

 

土が草をよぶって、どういうこと?

 

例えば、春先に見かけるつくしんぼ。

つくしの根っこはカルシウムやシリカが豊富で

土がカルシウムを欲しがるとあの草を呼ぶのだと言います。

 

確かに、土が酸性よりで、

カルシウム分等の栄養が不足してくると

スギナ(つくしはスギナの胞子茎)が
元気に出始める傾向があるのです。

 

他にはヤブガラシなども分かりやすいですね。

水が滞留しているところ、ジメジメしているところに出てきます。

水はけが良くないといけない土壌なのに

滞水してしまっているところにはヤブガラシがでて

根っこをどんどん伸ばし、土中の通気性をよくしてくれます。

 

土が空気を欲しがってるところにちゃんと生えてくる…

そんな不思議な光景を、度々目にすることがありました。

 

皆さんのお庭や畑にも、土が呼んでいる草があるかもしれませんね。

物言わぬ土が、ちゃんと必要なものを呼び寄せる、

土、植物、虫、菌ちゃんたちの循環って


本当によくできているなあとつくづく思うのです。

 

では次回は、菌ちゃんたちの働きについてお話しますね。

 

(画像:つくしとヤブガラシ)

2024.12.05

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ②

さて、菌ちゃん畑を始めるにあたり

まず取り組むのは「元気な野菜を育てる土づくり」です。

 

虫に食われないほど元気な野菜を育てるには

土中の微生物たちが元気に生きる畑を目指すのですが

特に「糸状菌」という菌の働きに注目していきます。

 

みなさんは、草地や森、山など緑の多い場所を

歩いているときに、地面に落ちた枯葉や古い枯れ枝に

白っぽい粉のような、ごく細かい白い糸のようなものが

ついているのを見たことはありませんか?

あれが、糸状菌たちです。

 

糸状菌は、枯葉や木屑などの

高炭素有機物をゆっくり分解して

土壌中の養分にしてくれたり、

他の菌たちが働きやすい環境を作ったり、

植物の根っこの成長を助けてくれたりしています。

 

吉田先生は、彼らのことを愛情こめて

「菌ちゃん」と呼んでいるんですよ。

 

 

一から畑を作り、畝を立てます。

 

まず、しばらく何も作物を育てていなかったスペースの

草刈りから始めました。この時に刈り取った草は、

2ヶ月ほど畑の横で野ざらしにしておくと

後で土の中の微生物たちのとても良いエサになるのです。

ススキやチガヤ、イネ科の植物のような

茎が硬い感じの、炭素分が多い枯れ草は大歓迎です。

 

それからいったん土を均して、水はけ用の溝を掘り、

大人の膝上くらいまである高い畝を立てます。

この高い畝が、菌ちゃん畑の特徴なんです。

一般的な畑の畝はもっと低いのですが、

糸状菌が好む水はけの良い畝を作るには

この「高さ」が必要なのだそうです。

 

畝を立てた後、雨が降って土が湿ったら

黒マルチという農業用のフィルムシートで全体を覆います。

これで畝の内部の湿度や通気を程よく保ち

菌ちゃんたちがエサを分解してくれるのを待ちます。

2ヶ月くらい待って、土の中に糸状菌の白い菌糸が

見つけられるようになれば、いよいよ植え付けができるのです…。

 

なかなかの重労働ですが、数人がかりで頑張りました!

 

 

畑の周りには囲いを作りました

 

近隣の畑では、農作業の効率UPのために

多少のお薬は使っていらっしゃることでしょう。

強風の時などにそれらが飛んでくることもありますし

育て始めの菌ちゃんたちへの影響を考えて

新しく作る畑の周りには、木製の囲いを設置しました。

スモーキーブルーの木製フェンスが、いい雰囲気です!


 

目には見えないし、言葉も発しないけれど

土中で食べ物を待っている菌ちゃんたちのお世話をする…

何だか、日々植木たちと向き合っている

庭師のお仕事にも繋がっているように感じますね。

2024.11.30

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ①


当社では、よりよい庭づくりや土壌環境の改善を

目指して、10年ほど前から土壌試験場を設けて

野菜や花を育てています。

 

試験場の畑を定点観察するのは


本当に面白く、折々に気付きを得られます。

 

それは時に

私が先代社長から教えられてきた

日本の庭師の伝統技術や知恵にも結びついており、

何年か越しで「ああ、こういうことか」と

かつての言葉が深く腹落ちする瞬間でもあります。

 

 

「菌ちゃん畑」との出会い

 

畑についてはゼロから勉強するので


いろいろな書籍にも目を通していました。

 


そんなある日、吉田俊道さんという方が書かれた本で

「土壌中の微生物、特に糸状菌の働きを活用して


 元気な野菜を育てよう」という農法が


紹介されているのを読み、がぜん興味が湧いたのです。

 

というのは、私の畑の白菜は

いつも
外側の葉が虫に沢山食われ、葉脈の繊維だけが残り

まるで綺麗なレースのように見えるほど。

(写真の白菜はまだそこまでではないですが)

家庭菜園などで同じような経験をされた方も

いらっしゃるのではないでしょうか?

 

あまり薬を撒かずに育てていると


これも仕方ないのかなあと半ば諦めていたのですが、


吉田先生は本の中で

「虫達は弱った植物を食べて、土に帰そうとしているだけ。

 虫がやってこない元気いっぱいの野菜を育てればよい」

と仰っていたのです。

 

 

植木と野菜がつながった

 

確かに…!

この考え方、植木にも通じるところがあるのです。

 

抵抗力が落ちて弱った木には虫がつきやすくなり、

やがて土に還されていきます。

このサイクルは、これまで庭木の管理を通じて

何度も目の当たりにしてきたものでした。

 

自分の経験と吉田先生の言葉が結びついた瞬間、

「これはぜひうちの畑でも試してみよう!」と

強く思ったのです。

 

そこで今年の春から、新しいスペースを使って


菌ちゃん畑の土づくりにとりかかりました。

 

次回は、具体的な畑作り、土づくりのお話です。

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