お知らせ

お知らせ

2025.01.30

一番身近な、大きな命。街中の樹木の話。

もうすぐ立春、でも今週末は雪の予報です。

この時期は空気がカラッとしているので

晴れた日に樹々を見上げた時には

空の青さを格別に美しく感じますね。

 

さて、私たちは一戸建てのお庭だけでなく

マンションなどの大きなお庭も

お手入れさせていただいています。

大きな建物や広い空間には

かなり背の高い樹も立っていますので、

定期的な樹木の安全点検とメンテナンスは

欠かせないのです。

 

樹木は生きていくうちに

「ここの枝は、いらないな」と

自分でどこかに枯れ枝を作るものなのですが

「いらない」とスイッチが入って

枝が落ちるまでの期間は、樹種によって様々です。

 

例えばケヤキ等はそのスピードが早い樹なので

数年に一度は木に登って点検をします。

木の下から見ると細そうな木の枝も

登ってみれば大人の腕くらいの太さがあり

これが落下すると危険ですから

登ってチェックする必要があるのです。

 

この時に、クレーンなどで上がって

確認できれば良いのですが

そういう車が使えない時は私たちが人力で登ります…。

登り手と地上にいる者の連携も重要です!

上手に登って、木にも人間にも負担少なく

作業できるよう、日々技術を磨いています。

 

背の高いビルやマンションがあると

建物の間を吹き抜ける風の勢いは増します。

(いわゆるビル風です)

樹木たちはいつもこの風を和らげてくれているので

風の強い場所では、彼らの負担も大きいのでしょうね。

街中で立派な木をみると何となく

今日もありがとう、って言いたくなるんですよ。

 

他にも、もう少しすると開花が楽しみな

桜の木など、特に大きめの古い樹は

台風の際に枝いっぱいに風を受けてしまい、

耐えきれずに枝や幹に亀裂が入り

そこからキノコが生えたりして

樹が傷んでしまっていることもあります。

そういう場合は、大きく切り戻して

改めて樹の状態を整え、作り直すこともあります。

 

生き物相手ですから、最終的には

その樹の生命力次第なのですが

色々考えて手当や対処をしてあげることで

少しずつでも元気になってくれたらと思っています。

 

昔はこれほど、年に何度も

苛烈な暴風雨がくることはありませんでしたよね。

いずれにせよ、お天道様には逆らえませんので

その都度、知恵を絞るお庭屋さんなのでした。

 

都市や街中に立つ樹木たちは

私たちが一番身近に接する巨大な命です。

立派な姿の彼らも

時に黙って困っていることもありますから

声なき声を聞きながら

気にして見ていてあげたいなと思うのです。

 

写真上:ケヤキ

写真下:六義園の桜

2025.01.17

貝塚伊吹と、お庭のひそひそ話

昨日は気温がぐっと下がりましたね。

こういう寒い時期は、お天道様の力が

本当にありがたいです。

お庭のお手入れの際

陽の当たる場所を担当するのと

日陰になっている場所を担当するのでは

体の冷え方が全然違います。

 

さて、悴んだ手を温めつつ鋏を握り

日々植物たちと向き合うお庭屋さんは

お手入れを始める前、またはお手入れしながら

植物たちの様子をじっと観察しています。

 

彼らは人の言葉ではおしゃべりしませんが

その様子から見てとれることもあります。

 

もちろん言いたいことの全てはわからなくても

「何かあるんだろうなあ」と

心に留めておくだけでも

後日のヒントになったりするのです。

 

このような植物との会話はいろいろあります

 

例えば、大きな木の根っこが、土の表面に

上がって伸びてきてしまっているのを見れば

「何か下に行きたくない理由があるんだな、

 下に何かあるのかな」

というふうに考えます。

 

「ここの土が乾燥しすぎている?

 下に固くて通気のよくない土や石があるとか?

 それとも地盤が浅いのかな?」など…

 

すぐに何かできなくても

植物たちの声をいったん聞いておきます。

スタッフ同士で

「この子はどうしたいのかねえ」なんて話もします。

 

他にも先日、貝塚伊吹(カイヅカ イブキ)という

庭園や生垣によく植えられている

背の低い桧の仲間の木があるのですが、

同じ1本の木なのに、枝や葉っぱの形が

場所により全然違って伸びている子がいました。

(写真の枝は、同じ貝塚伊吹の木から剪定したものです)

 

これは「先祖返り」などと言われる現象で

園芸用に人間が品種改良したものが

何らかの理由で昔の姿に戻っているものです。

 

貝塚伊吹は、寒さにや乾燥にも割と強くて

お日様が大好きな植物です。

元々は、伊吹(イブキ)という野生の植物をもとに

改良されて生まれました。

 

元の野生の伊吹は、葉っぱがトゲトゲしていて

小枝も少しぐねぐねとした姿をしているんですが

どうもこの子は一部の枝だけ

祖先に近い形質(かたちや特徴)を

とろうとしているようなんです。

 

植物は、品種改良をしても

祖先の性質が遺伝子に隠れて残っていることがあり

何かの拍子にそれが表に出てくることがあります。

 

その原因は定かではなく、

強すぎる日差しや乾燥、強めの剪定、根の傷みなど、

植物にストレスがかかると

祖先の形質が現れやすくなるといわれています。

 

先祖返りをしている貝塚伊吹を剪定しながら

「何かストレスがあるのかな?

 それとも昔の姿になった方が

 この子にとっては何か、都合がいいのかなあ」

そんなことを考えました。

剪定した枝は、桧のよい香りを漂わせています…。

 

何となくですが…

剪定しながらスタッフ同士で話していることも

植木たちはちゃんと聞いているような気もするので

「サインに気づいているよ」という意味で

そっと考え事を呟いてあげるのも

悪くないかなと思っています。

2024.12.30

年の瀬に、木樽いっぱいの倖せを

当社では、毎年冬に畑で採れた大根で

たくあん作りをしています。

収穫後、一週間くらい天日干しにしてから

木製の樽に漬け込むのです。

 

昨年はうっかり干しすぎたかな?と思っていたら


水分が適度に飛んで、旨みがギュッと凝縮されて


予想以上に美味しくできました。

このように干し加減でも味わいが変わるのが

たくあん作りの面白いところですね。

今年の漬かり具合も楽しみです!

 

漬け込みレシピは

小島農園さんのもち米の糠、昆布、ざらめ、塩、

柿の皮、そして乾燥させたみかんの皮も入れました。

白、緑、黒、橙色…樽の中は色とりどりです。

 

大根をはじめ、多くの野菜の表面には

自然の植物性乳酸菌がついています。

(根粒菌、糸状菌ときて、今度は乳酸菌の登場です!)

 

塩や乳酸菌は、他の有害な細菌の繁殖を抑えます。

そして乳酸菌が大根やぬかの糖を食べて増えていき、

酵素を出して旨みをアップさせてくれる…

これが、たくあんの美味しさのヒミツなのです。

 

 

素敵な漬け込み樽のこと

 

写真の見事な樽は、当社のお客様から頂いたものです。

お客様のお家の物置の中で長年眠っていた酒樽でして、

もともとは先代のお祖父様が
大切にとっておかれたものでした。

 

材質はおそらく杉かと思います。

あまりに見事な樽なので、
当社のスタッフの一人は

たくあんを漬けた樽の中の木目を
しばらくうっとり眺めていたほどです。

 

先代のお祖父様は、木場の商社で

木材を扱っていらっしゃったそうで

お宅の物置はさながら名木の宝箱という雰囲気でした。

 

ある時「鈴木造園さんで使ってくれるなら」と

ありがたいことにこの樽をお譲りくださいまして、

こうして毎年たくあんを作るのに

大切に使わせていただいています。

 

本当に、私たちはあたたかいお客様方に恵まれて

今年も無事に仕事納めを迎えることが出来ました。

心より感謝申し上げます。

どうぞみなさま、良いお年をお迎えください。

2024.12.29

年末年始休業のお知らせ

平素より弊社をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。


年末年始の休業期間について、以下の通りご案内申し上げます。


 

【年末年始休業期間】


2024年12月31日(火)~2025年1月7日(火)


 

新年は2025年1月8日(水)より営業を開始いたします。


休業期間中にいただきましたお問い合わせにつきましては


営業再開後、順次対応させていただきます。


 

本年も多くのお客様に支えられたこと、心より感謝申し上げます。


来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。


2024.12.19

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ④

皆さんのお庭や畑の土って、今どんな状態でしょうか?

土にもいろいろありますよね。

当社の土壌試験場では、野菜たちがぐんぐん育つ

栄養豊かな土を目指して


菌ちゃんたちにお手伝いをしてもらっています。

 

菌ちゃん畑の土って、どんな土?

 

土の中には、糸状菌乳酸菌酵母菌

他にも以前リクガメちゃんの記事でご紹介した

植物の成長に欠かせない窒素を土中に取り込んでくれる

根粒菌などの多種多様な菌たちがいて

みんなで上手に補完しあっています。

 

今回の畑の土づくりでは、糸状菌の働きに注目して

彼らが大好きな
、通気性の良い土壌環境を整えます。

 

彼らのエサになる枯れ草などの

炭素を多く含む有機物を土にたっぷり混ぜて、

手でさわると軽くてさらさら、ほろほろの土にしてあげると

さらに元気に活動してくれるようになります。

 

すると、命の役割を終えた有機物たちに向かって

土中から糸状菌たちがするするとのびてきて

ゆっくりと分解を始め

野菜やお花、植物たちが吸収できる栄養素ができます。

 

虫さんたちと同じく、土中の微生物たちは

土に帰りたいものたちのお手伝いをしてくれるのですね。

 

これにより栄養たっぷりの土で育つ野菜たちは

病気になりにくく、虫もつきにくくなります。

人間で言えば、栄養状態の良い人は

免疫力が高くて病気になりづらいのと同じことでしょうか。

 

良いエサになるのは枯れ草、枯れ葉、籾殻、剪定枝。

適度な大きさに割った竹や、古い木。

菌ちゃん畑で育てた野菜の残渣も、土に還せます。

この畑は、私たちの身近にあるものを活用して

土づくりができるのが大きな魅力なんです。

 

遠くから原材料を買ってこなくても

 

家庭菜園やお庭で、こうした身近な材料を見つけ

“自給自足”の土づくりに挑戦するのも面白そうです。

 

日本で使用される化学肥料は

主に国内で製造されていますが

その原材料の多くは海外からの輸入に頼っています。

 

製造コストの6割が原材料費で、

最近は、中国、マレーシア、カナダなどからの輸入が

主だそうです。(農林水産省「肥料をめぐる情勢」)

 

そうなると当然、国際情勢や原料価格、運送費の変化、

円安にもかなり影響を受けますよね…。

 

身近な有機物を活用した土づくりができたら

わざわざ海外から高い値段で

たくさんの材料を買わなくても済むかもしれない。

 

菌ちゃんたちの活躍を見守りながら

そんな未来を楽しみにしている今日この頃です。

2024.12.11

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ③

私たちの身の回りにあるお庭や公園、畑の土には

それぞれ個性がありまして、

通気性の良い土、湿っぽい土、

酸性土壌や栄養成分の多寡など、さまざまです。

 

その土に合った植物の種はしっかり育ち

合わなければ育たないし

そもそも芽吹かないこともあるんですよ。

 

庭師のお仕事をしながら

土と植物の関係で面白いなあと思うのは

先代の社長が折々に言う

「草ってのは、土が呼ぶんだ」ということです。

 

 

土が草をよぶって、どういうこと?

 

例えば、春先に見かけるつくしんぼ。

つくしの根っこはカルシウムやシリカが豊富で

土がカルシウムを欲しがるとあの草を呼ぶのだと言います。

 

確かに、土が酸性よりで、

カルシウム分等の栄養が不足してくると

スギナ(つくしはスギナの胞子茎)が
元気に出始める傾向があるのです。

 

他にはヤブガラシなども分かりやすいですね。

水が滞留しているところ、ジメジメしているところに出てきます。

水はけが良くないといけない土壌なのに

滞水してしまっているところにはヤブガラシがでて

根っこをどんどん伸ばし、土中の通気性をよくしてくれます。

 

土が空気を欲しがってるところにちゃんと生えてくる…

そんな不思議な光景を、度々目にすることがありました。

 

皆さんのお庭や畑にも、土が呼んでいる草があるかもしれませんね。

物言わぬ土が、ちゃんと必要なものを呼び寄せる、

土、植物、虫、菌ちゃんたちの循環って


本当によくできているなあとつくづく思うのです。

 

では次回は、菌ちゃんたちの働きについてお話しますね。

 

(画像:つくしとヤブガラシ)

2024.12.05

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ②

さて、菌ちゃん畑を始めるにあたり

まず取り組むのは「元気な野菜を育てる土づくり」です。

 

虫に食われないほど元気な野菜を育てるには

土中の微生物たちが元気に生きる畑を目指すのですが

特に「糸状菌」という菌の働きに注目していきます。

 

みなさんは、草地や森、山など緑の多い場所を

歩いているときに、地面に落ちた枯葉や古い枯れ枝に

白っぽい粉のような、ごく細かい白い糸のようなものが

ついているのを見たことはありませんか?

あれが、糸状菌たちです。

 

糸状菌は、枯葉や木屑などの

高炭素有機物をゆっくり分解して

土壌中の養分にしてくれたり、

他の菌たちが働きやすい環境を作ったり、

植物の根っこの成長を助けてくれたりしています。

 

吉田先生は、彼らのことを愛情こめて

「菌ちゃん」と呼んでいるんですよ。

 

 

一から畑を作り、畝を立てます。

 

まず、しばらく何も作物を育てていなかったスペースの

草刈りから始めました。この時に刈り取った草は、

2ヶ月ほど畑の横で野ざらしにしておくと

後で土の中の微生物たちのとても良いエサになるのです。

ススキやチガヤ、イネ科の植物のような

茎が硬い感じの、炭素分が多い枯れ草は大歓迎です。

 

それからいったん土を均して、水はけ用の溝を掘り、

大人の膝上くらいまである高い畝を立てます。

この高い畝が、菌ちゃん畑の特徴なんです。

一般的な畑の畝はもっと低いのですが、

糸状菌が好む水はけの良い畝を作るには

この「高さ」が必要なのだそうです。

 

畝を立てた後、雨が降って土が湿ったら

黒マルチという農業用のフィルムシートで全体を覆います。

これで畝の内部の湿度や通気を程よく保ち

菌ちゃんたちがエサを分解してくれるのを待ちます。

2ヶ月くらい待って、土の中に糸状菌の白い菌糸が

見つけられるようになれば、いよいよ植え付けができるのです…。

 

なかなかの重労働ですが、数人がかりで頑張りました!

 

 

畑の周りには囲いを作りました

 

近隣の畑では、農作業の効率UPのために

多少のお薬は使っていらっしゃることでしょう。

強風の時などにそれらが飛んでくることもありますし

育て始めの菌ちゃんたちへの影響を考えて

新しく作る畑の周りには、木製の囲いを設置しました。

スモーキーブルーの木製フェンスが、いい雰囲気です!


 

目には見えないし、言葉も発しないけれど

土中で食べ物を待っている菌ちゃんたちのお世話をする…

何だか、日々植木たちと向き合っている

庭師のお仕事にも繋がっているように感じますね。

2024.11.30

菌ちゃん畑に挑戦!新しい土づくりのお話 ①


当社では、よりよい庭づくりや土壌環境の改善を

目指して、10年ほど前から土壌試験場を設けて

野菜や花を育てています。

 

試験場の畑を定点観察するのは


本当に面白く、折々に気付きを得られます。

 

それは時に

私が先代社長から教えられてきた

日本の庭師の伝統技術や知恵にも結びついており、

何年か越しで「ああ、こういうことか」と

かつての言葉が深く腹落ちする瞬間でもあります。

 

 

「菌ちゃん畑」との出会い

 

畑についてはゼロから勉強するので


いろいろな書籍にも目を通していました。

 


そんなある日、吉田俊道さんという方が書かれた本で

「土壌中の微生物、特に糸状菌の働きを活用して


 元気な野菜を育てよう」という農法が


紹介されているのを読み、がぜん興味が湧いたのです。

 

というのは、私の畑の白菜は

いつも
外側の葉が虫に沢山食われ、葉脈の繊維だけが残り

まるで綺麗なレースのように見えるほど。

(写真の白菜はまだそこまでではないですが)

家庭菜園などで同じような経験をされた方も

いらっしゃるのではないでしょうか?

 

あまり薬を撒かずに育てていると


これも仕方ないのかなあと半ば諦めていたのですが、


吉田先生は本の中で

「虫達は弱った植物を食べて、土に帰そうとしているだけ。

 虫がやってこない元気いっぱいの野菜を育てればよい」

と仰っていたのです。

 

 

植木と野菜がつながった

 

確かに…!

この考え方、植木にも通じるところがあるのです。

 

抵抗力が落ちて弱った木には虫がつきやすくなり、

やがて土に還されていきます。

このサイクルは、これまで庭木の管理を通じて

何度も目の当たりにしてきたものでした。

 

自分の経験と吉田先生の言葉が結びついた瞬間、

「これはぜひうちの畑でも試してみよう!」と

強く思ったのです。

 

そこで今年の春から、新しいスペースを使って


菌ちゃん畑の土づくりにとりかかりました。

 

次回は、具体的な畑作り、土づくりのお話です。

2024.11.25

冬支度から始まる、お庭との会話

今年も残すところ、1ヶ月少々となりましたね。

庭木が落葉し、冬支度が進むこの時期は

私たち庭師もお庭のお手入れに大忙しです。


 

ここ2年ほど、気候の変化で
季節の移り変わりが

少しずつずれていると
感じることが増えました。


夏がとても長く、秋冬はぐっと短くなり、

春もまた少し短くなっているように思います。


皆さんも、衣替えのタイミングが変わっていませんか?

 

そして落葉する時期がずれれば


木の剪定(せんてい)に適する時期も変わります。


 

剪定は木の健康を保ち


来年も美しい姿で元気に育つために欠かせない作業です。


でも不思議なことに、同じ一つのお庭の中でも


全部の木が同時に剪定タイミングを迎えるわけではなくて…、

 



どの子もそれぞれに


「私はまだ大丈夫」「そろそろ剪定してほしい」と


都合や個性があるみたいですよ。


 

ですので、カレンダーだけでなく
木々の様子を直接見て

その都度どんなお手入れをしてあげたらいいかを


ご提案できるよう努めている今日この頃です。

 

 

さて、以前から弊社では、土壌試験場の畑を作って

植物たちと気候や土の関係を観察しています。

 

伝統的な庭師のお仕事、庭づくりは


自然を相手にした知恵の結晶でもあります。

 

日本の気候や植生に沿い、

人間の近くにあるお庭という場所で

生きとし生けるものが

健やかに生息できる環境を作り育てる。

 

そのための知見と技術を受け継いでいくことが

とても大切なのではないかと私たちは考えています。

 

それは、植木を美しく配置したり

見栄えの良い苔や石を並べたりすることよりも

難しいけれど遥かに重要なことで、

いちど庭ができてしまったら目に見えない部分に

思いを馳せる仕事でもあります。

 

土づくりや土壌改良の研究もその一環です。

私たちの足元にある「土」が

どんな仕組みで
植物達を支え育ててくれているのか、

そして虫や小鳥、植物、土中の菌類まで含めて


全ての生きものたちがどんなふうに循環しているのか、

パッと目に見えなくても大事なこと、

それを識るために、日々地道な観察を続けています。

 

いろいろ気候変化の激しい昨今ですが…

これからそんな土づくりや畑のお話も

ここに少しずつ書いていきたいと思います。

どうぞお楽しみに!

 

(秋色の写真を集めました。カラスウリ、ヒメシャラ(橙色)、ハナミズキ(赤)です)

2024.11.20

ペットとお庭のやさしい関係

当社が日頃パソコンのことでお世話になっている


Wさんは、リクガメを大切に育てていらっしゃいます。

先日お目にかかった際、写真を見せていただきつつ

普段どんな餌を好んで食べるのかお聞きしました。

 

すると、リクガメ用の栄養フードなどもあるけれど

小松菜や青梗菜などのお野菜が大好きで

他には野草もよく食べるというお話でした。

そして野菜の種類や栄養バランスを考えるのも

大切なのだそうです。

 

ただ、そういった葉物野菜も高い時期がありますし

自宅で何かリクガメが好きな植物を

育てられないかと思うことがあるそうで

例えば、桑の葉っぱもよく食べるから

お庭に桑の木を植えたらどうかと
何となく考えているとのことでした。

 

確かに、カメさんが好きな桑を庭に植えれば

どんどん育って沢山葉っぱが取れるでしょう。

しかし、桑の木はとても成長が早い植物ですし

地植えにすると根も大きく広がるので


他の植物にも影響してしまうなど


後の管理が大変になる可能性があるんです…。

 

 

そこで私たちからは

シロツメクサをおすすめしました!

 

シロツメクサの種は、園芸店やホームセンターで

入手できます。緑肥(りょくひ)とも呼ばれ

農業や園芸での土づくりに役立つ

素晴らしい植物なのです。

 

根に共生する「根粒菌(こんりゅうきん)」という

微生物を通じて、大気中の窒素を

土壌中に固定する能力があり、

次に植える植物や野菜が元気に育ちますし

化学肥料の使用を減らすのにも役立ちます。

 

また、根っこが土壌の隙間に入り込むことで

土が柔らかくなり、土壌の排水性や通気性もアップし

後で枯れたシロツメクサを土に鋤き込めば

それもまた良質な土の栄養になるんですよ。

 

さらには雑草対策にも向いており、

お庭に植えればグラウンドカバーになって

地表を覆い、雑草の繁殖を防ぎ

土壌の養分が奪われるのを抑えてくれます。

 

ですから、雑草に困っている駐車場などには

シロツメクサを蒔いて育てるのも

草取りの手間が省けてよいと思うのです。

なぜなら、雑草は気になるけれど

シロツメクサが一面に育っていても


背も高くならないし、かわいいし、誰も困りませんからね。

 

そうそう、もう一つ

リクガメちゃんにとっても嬉しいポイントが。

公園や道端で見かける植物だと

農薬や除草剤が撒かれている可能性もあります。

ご自宅のお庭やプランターで無農薬栽培した

新鮮なシロツメクサなら、Wさんのリクガメちゃんも

喜んで食べてくれるのではと思っています。

 

お庭を通じて、ペットや自然と心地よく暮らす、

そんなアイデアを形にするお手伝いを


私たち庭師がいたします。

家庭菜園や草対策についても、お気軽にご相談くださいね。

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